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ただ風呂に入っているだけですが肌色世界があるので『R』指定とさせて頂きます。
自己責任の上で閲覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

浴室に逃げ込んだカムイが温泉から引いた湯をはりながら鎧を外していると、外から鍵を回してヒナタがドアを開けて入ってきた。

「きゃあ!!」


「夫婦なのに今更何言ってんだ。」


「鍵閉めたのにっ!?」


「あー? 前おめぇが長風呂して逆上せた時に鍵かけてて大騒動になったろうが。あの後 鍵を開けやすい様に直した。」


「ちょ…いつの間に…」


「俺こういうの得意でなー。惚れなおしたろー?」


カムイは慌てて衝立の陰に隠れるがヒナタはお構いなしにズカズカ入ってきて着物を脱ぎ捨て湯をかぶり始めた。

カムイの育った暗夜と白夜とでは風呂の入り方も違う。

白夜育ちのヒナタの為、結婚時に風呂を白夜式に近くリリスに作り変えてもらい湯船もゆったりした洗い場もある形の個人の風呂にしては少し広い作りになっていた。

結婚してすぐの頃、暗夜式とは違う風呂の感じが嬉しくてつい長風呂をしてしまいすっかり逆上せて動けなくなってしまった事があった。

その時鍵をかけて入っていたため人を呼ぶことも出来ず、ヒナタが帰ってきて気付きドアを蹴破って助けてくれたからよかったが、まさかこういう日曜大工的な事が出来るとは知らなかった。

それにヒナタはタクミの臣下で自分の隊を持っている為、普段は兵士達との交流も含め皆で入れる大きな温泉に入ってくる事が多く、今日もそうして湯あみを済ませてきたものとばかり思っていた。

「何やってんだ。ほれ来い。髪洗ってやっから。」


「入ってきたんじゃなかったの? 」


「国から帰って来たばかりなんだぜ。直帰でこっちに帰ったに決まってんだろ。はーやくこいよー。風邪ひいちまうー。」


「んもー…」


ぶつぶついいながら鎧を脱ぎバスタオルを巻いて衝立から出てくるとヒナタに腕を掴んで引き寄せられバスタオルを剥がれて椅子に座らされた。

「きゃっ!」


「白夜じゃ家で風呂入る時にゃ素っ裸になんの。流すぞー。」


頭からゆっくりとお湯をかけられ石鹸を泡立ててゆっくりと髪を洗ってくれる。

ヒナタの手は大きく頭全体をマッサージしてくれている様でとても気持ちが良い。

カムイはため息をつきながらヒナタの胸に後ろ頭を預ける様にする。

「カムイさん、頭凝ってますねー。」


「そう? 疲れてるのかなー?」


「心配すんな。今日は俺がしーーーっかり心身ともにケアしてやっから。」


「…不安…」


「んな事言うなよー、さびしーなー…ほい、流すぞー。」


石鹸の泡を流して大きな手で髪を梳いて水分を落としてくれる。

「ヒナタの手、便利ー。」


「何なら毎晩でもやってやろーか?」


「隊の交流の方が優先ですのでそちらを先にやってからにして下さいね、隊長さん。」


「そりゃそーだけどよー…ちぇー…」


話をしながら桶に湯を取りリンゴ酢やオイルを数滴落としてカムイの髪を浸し始める。

「なにこれ? いーにおーい。」


「へへ、前アクア様達が話してるのを食堂で聞いて、いっぺんおめぇにやってみてぇと思ってたんだ。何か髪がサラサラになるらしいぜ。おめぇがオイルを使ってるのは知ってたけど、酢をいれるってのは知らなかったからなー。」


チャプチャプと髪を浸していくとすぐに髪が艶を持ち始めるのが解る。

カムイの髪を丁寧に少しづつ浸し撫でていくヒナタはとても楽しそうだ。

「後、私もしてあげる。」


「まじで? やった! よしゃ、軽く流すぞー。」


湯で髪を軽く流して櫛で梳き、タオルを巻いてくれた。

「次は体なー。」


「ちょっと待って、それはいい。自分で出来る。勘弁して。マジで。」


「なんでっ?」


「それはいい。ほんとに、気持ちだけで、ありがとう。ヒナタも風邪ひいちゃうから、とにかく体を洗ってお湯に浸かろう、ね。」


体を洗って湯船に浸かり大きくため息をつく。

「あー、きもちー!」


「はぁー…あったかーい。」


「ヒナタ、お疲れさま。白夜はどうだった?」


「んー、相変わらず綺麗な国だよなー。でも帰ってる間タクミ様も俺もドタバタ。結局向こうに帰っても実家にゃ寝に帰ってたくれぇかな。」


「忙しかったんだね。皆さんお元気だった?」


「おう、ユキムラ様も実家の皆も元気だったぜ。よろしく言っといてくれってよ。」


「そう、よかったー。」


「こっちゃどうだった? 」


「んーとねー…」


湯に浸かりながら他愛もない話をして笑う。

この時間が数日無かっただけでカムイはとても寂しさを感じていた。

今までは1人で居るのが当たり前でそんな風に思った事も無かったが、部屋に帰った時、過ごす時間、眠る時のベッドの広さ、戦の時などヒナタが居ない事が不安で寂しくて仕方がなかった。

寒くもないこの時期に妙に寒さを感じて寝室で毛布に巻き付いて過ごした日もあった程だ。

「寂しかった…」


ぽつりと無意識に発した言葉にカムイは自分で驚いてヒナタの顔を見て両手で口を覆う。

ヒナタは最初驚いた様な顔をしていたがニカッと笑いカムイの体を引き寄せた。

「かっわいー事 言ってくれるじゃんカムイ♪へへーっ、俺の嫁さんは世界一だなー…ほんとーーーーに、世界一だ。」


自分の膝の上に乗せてカムイの頭に自分の顎を乗せる様にしてヒナタは笑い抱き締めてくれる。

カムイは嬉しくてヒナタの腕に手を添わせながら甘える様に擦り寄る。

「お、珍しっ。うわ、かわいい♪」


「ふふ…甘えてあげる。」


「なんだ、そりゃ。」


「だから頭を洗ってやらん事もない。」


ヒナタの髪の組紐を解いて鼻の頭にキスをすると、ヒナタは嬉しそうに笑って口づけようとしてきたがカムイに両手でパムッと口を押さえられ、そのままでモゴモゴと口を動かす。

「んーらよ、くちふけふらいはへろ(んーだよ、口づけくらいさせろ)。」


「今したら2人して逆上せちゃうでしょ。後で、ね。」


カムイのそんな仕草と言葉にヒナタの顔は一気に赤くなり、それを見てカムイは目を丸くして笑う。

「うわ、かわいい!!」


「反則だろ…何、うちの嫁。ちょーかわいー…我慢しねぇと駄目?」


「ダメー。」


「おめぇ、そんな性格だったか?」


「ヒナタに似たんじゃなーい?」


「まだ結婚して2か月ですが。」


「プロポーズの時に「俺色に染まる」とか言ってなかった?」


「…わーったよー、くそー…」


カムイを抱きあげて湯船から上がり床に下ろすとそのまま耳元で囁く。

「後覚悟しとけよ。」


カムイは目を丸くしてヒナタを見るが、ヒナタは知らん顔で椅子に座り石鹸を投げてよこした。

 

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